2025年度精密工学会秋季大会学術講演会は、京都大学吉田キャンパスにて開催いたします。関西支部での開催は、神戸大学(オンライン開催)以来4年ぶり、京都での開催は実に20年ぶりとなります。前回のキャッチフレーズは「語ろう モノづくり哲学の道」でしたが、今回は「せかいが いきいき みんなが つながる」を掲げました。これは、過去20年間で学会を取り巻く環境が大きく変化してきたことを反映したものです。学術界においては、大学改革に伴うガバナンス強化や研究資金獲得競争の激化、学術の国際化が進みました。産業界においては、技術革新の加速、労働環境の変化、カーボンニュートラルへの対応など、大きな変化がありました。これらに加え、少子高齢化に伴う学会登録者数の減少、コロナ禍を経て進展した活動のデジタル化・DX化、学術評価の国際化に伴う国内論文数の減少、そして生成AIの活用など、学会運営に大きな影響を与えています。これらの課題は一筋縄では解決できません。そのような状況だからこそ、参加される皆さまが、会員同士の「つながり」を深め、それぞれの精密工学の「いきいき」とした未来への希望を語り合っていただけることを願っております。
京都は日本の歴史・文化の中心地であり、千年以上にわたり政治・経済・文化の要所として栄えてきました。市内には世界文化遺産に登録された多くの社寺や伝統工芸が残っております。特に、会場となる京都大学吉田キャンパスは京都市東部、鴨川の東岸に位置し、京阪電車・叡山電車の「出町柳駅」から徒歩圏内です。京都市中心部(四条河原町・三条京阪エリア)からも比較的近く、アクセスが良いため、学術行事だけでなく、京都の文化も存分にお楽しみいただけることと存じます。
秋季大会では、昨年の岡山大会で好評を博した企画を踏襲し、初日には企業による先端技術パネル・機器展示とあわせて、学生研究発表会(ポスター形式)を実施いたします。その後、学生と企業の皆さまとの懇談会を吉田キャンパスのシンボルである時計台で開催し、優秀な学生発表を表彰いたします。企業の皆さま、学生の皆さまの積極的なご参加を心よりお待ちしております。
2日目には、昨年ご好評をいただいた「プロフェッショナルセッション」を、今年はさらに分野を拡充して実施いたします。また、特別講演として「祇園花街の人材育成と経営の極意」を企画し、この研究分野の第一人者である近畿大学経営学部の西尾久美子先生をお迎えします。花街で長く受け継がれてきた人材育成と経営の知恵は、精密工学分野においても大きな示唆を与えてくれることでしょう。特別講演後には、同じく時計台で懇親会を開催いたします。京都らしい催しや料理、飲み物をお楽しみいただきながら、参加者同士の交流を深めていただければ幸いです。
さらに、会期中は学術講演に加え、教育機関によるポスター展示も予定しております。本秋季大会が、新たな知見を得る場となるとともに、新たな「つながり」を築く機会となり、皆さまの今後の研究や活動のさらなる発展につながることを願っております。
皆さまのご参加を、実行委員会一同、心よりお待ち申し上げております。
2025年度秋季大会実行委員会 委員長 松原 厚